ゆずとみかんといちご

ゆるゆる書きます

セルゲイ・ラフマニノフ 前奏曲嬰ハ短調 Op.3-2 (鐘)

この記事はクラシック曲 Advent Calendar 2015 8日目の記事です.

5歳の頃から高校までピアノを弾いていました.クラシックはショパンノクターンから入り,今回紹介するラフマニノフの鐘が,おそらく最後の発表会で弾いたクラシック曲です.浅田真央選手が使っていたので知っている方も多いでしょう.

曲を聴く前に,皆さんは「鐘の音」と聞くとどんな音を思い浮かべますか?

私が譜面も作者も知らないときにタイトルだけからイメージしたのは,お寺の鐘の音でした…除夜の鐘みたいな……日本人ですからね…

先生から譜をもらってとりあえず弾いてみるとなんとも暗い.遅い.そうかと思うと突然慌ただしくなる.全然イメージがわかなくて CD ショップ行って様々なピアニストの鐘を試聴しました.でも本当になんでこの曲が鐘なのか,どこが鐘なのか分からなかったです.

慌ただしいところ以外はテンポも遅く,複雑な音符もないので,練習するモチベーションがあんまりなかったのですが,そんな中でもいろいろ試聴はしていて,あるときついに,ワイセンベルクの鐘を聴いたとき,きました,鐘の音.

www.youtube.com

ロシアの教会だ!ロシアの,モスクワあたりの古い教会の鐘の音だ!モスクワはおろかロシアなんて行ったことないけどこれはロシアだ!って思いました (よく考えたらラフマニノフはロシア人だしこの曲はモスクワでお披露目されたのでそりゃそうだろうという感じなのですが). ロシアだしきっと冬はめっちゃ寒い.寒くてとても暗い,空気も重いんだろう.外に出る人なんて全然いない中で教会の鐘が重厚な音を響かせている,そんなイメージが完全にできあがりました.

2'39'' からのラストは低音部の重厚な和音と高音部のかっちりとした音がどちらも同じくらいの音の大きさ (譜は忘れましたが fff くらい?) で交互に出てきて,いかにもゆっくりと左右に揺れて音を出す鐘って感じがするのはよい.そこはどのピアニストもそうでした. ワイセンベルクが他と違ったのは,最初の方や,一番最後の小さな和音でさえも金属音のようなカチッとした音で弾いてるところです.最初から最後までずっと鐘の音でした.除夜の鐘なんて想像して本当に申し訳ない限りです.

そんなこんなでこの曲は私にとって思い出深い曲の1つとなりました.大学に入ってフィンランドへ留学したついでにヨーロッパをちらほらとまわってきたのですが,どの町へ行ってもとにかくまず教会へ足を運びました.今でも冬になって風が身にしみるようになると必ず聴きたくなります.

でも実はまだロシアに入ったことがないのです…いつか真冬のモスクワに行きたいなーとは思ってるのですが…

最後に,ラフマニノフ自身が演奏しているものを.

www.youtube.com

明日は Ptu_ さんです.